○○するお話【中編つめあわせ】




「……よいしょ」

窓に足をかけた金髪の男の人が部屋の中へと入ってくる。その人の金色の髪を見て……思い当る名前を口にした。

カイジさんに聞いた事がある、幼なじみの吸血鬼。
カイジさんの話の中に何度も出てきていた――。

「……アキラ、さん?」

「……ああ、知ってるんだ、俺の事」と無表情に言ったアキラさんが、腕に抱えていた黒い布を重たそうに床に下ろす。
それから私をじっと眺めた。

アキラさんも吸血鬼だって聞いていたけど、カイジさんとは瞳の色が違う。
黄色く澄んだ瞳はとても綺麗で……でもやっぱり底光りしていて背中をぞくりとした怖さみたいなモノが走った。

カイジさんがあんな風に登場した時には感じなかった恐怖に戸惑いながら、視線を返す。

「あの、カイジさんは……?」

アキラさんがなんでここに来たのかは分からない。だけど、それよりもまずカイジさんの事を知りたくて聞くと。
そんな私を見つめた後、アキラさんが目を伏せ、さっき床に置いた黒い布に視線を向けた。

「これ、カイのマント」
「え?」
「引っ越す事になったからカイの部屋を色々片付けてたんだけど、これだけどうしようか迷って」
「引っ越すって……」
「カイ、もう自分である程度のモノは処分してたみたいだから、残ってたのは服がちょっとだけだったし、片付けって言うほどしてないけど。
カイの服だとかは、他の仲間も着れるしいいんだけど……これは誰も欲しがらないだろうから」
「なんで……引っ越し先に……」

カイジさんのモノは持って行かないんですか?
処分って、なんで……?


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