○○するお話【中編つめあわせ】
錯乱状態だった精神がようやく落ち着き始め、前を向いてまでとはいかなくても、それなりの生活を取り戻してきたのは、カイジさんがいなくなってから三ヶ月が経った頃だった。
それから、これからの事をどうしようかと考え……カイジさんが私を最後まで心配してくれていた事を思い出した。
学がないから仕事につけないと。
正直、いなくなってしまった人の心配を解消したいなんていう気持ちはおかしいかなとも思ったけれど、カイジさんがいないのに他にやりたい事なんて見当たらなかった。
だから、カイジさんが心配しなくて済むようにと勉強に打ち込むようになった。
カイジさんのおかげで今も私に親切な使用人さんは、学校に通わなくても卒業資格がとれる方法を調べて教えてくれたし、そのために必要な勉強道具もそろえてくれた。
好き嫌いはよくないからと、カイジさんが私によく言っていたように『一口だけ頑張って』と言い、私が食べるとカイジさんが浮かべたように嬉しそうな笑みを浮かべる。
中庭でうたた寝をしても、いつかカイジさんがしてくれたみたいにそっとブランケットをかけてくれて、カイジさんがリストアップして渡していたらしい、私が気に入っているケーキ屋さんで買ってきた苺の乗ったケーキもお茶の時に出してくれる。
まだまだ涙は滲む事もあるし、ぽっかりと空いた穴はそう簡単には塞がらないけれど……多分私は幸せなんだと思った。
カイジさんの残してくれたたくさんのモノを感じながら、毎日を過ごせている。
ケーキは、カイジさんと一緒に食べた時ほどおいしくは感じないけれど、それでも好きだと思う。
私の日常には、たくさんのカイジさんの想いが溢れているから……だから、幸せだと思う。
勉強を始め三ヶ月が経ち、季節が変わっても、まだまだやり残している参考書はたくさんあってこれからやる事は山積みだった。
だけど、予定が詰め込まれている方が安心するから丁度いい。
何もなければきっとまた、ただ泣くだけの日々に戻ってしまうだろうから、勉強は気を紛らわせるには最適だった。