○○するお話【中編つめあわせ】
もしもこのまま勉強を続けて、年相応の子たちが通う場所に一緒に通うようになったら。
私の気持ちも今とは変わっているんだろうか。
カイジさんを想うあまりに感じる寂しさも、薄れていくのだろうか。
きっとカイジさんがいたら友達は作った方がいいと言うだろうし、もしも友達ができたなんて話せば、毎日帰ったら確実に『今日は仲良くできたか? 何話した?』なんていうお節介を焼かれるんだろう。
カイジさんが喜ぶなら、私もそうしたいとは思う。
けれど……他の誰かが入り込んだ分、カイジさんとの事が薄れてしまうのだろうかと考えると、そこだけが気がかりだった。
「今日は、麗様の一番のお気に入りのケーキにしました」
そう言って使用人さんが出してくれたケーキは、カイジさんが一番よく持ってきてくれたモノで……使用人さんが言う通り、私の一番のお気に入りだった。
そんな事、カイジさんにも言っていなかったのに……カイジさんは気付いていたらしい。
ケーキの隣に、カチャリと置かれた、紅茶の入った赤いマグカップ。
それを眺めながら「ありがとうございます」と、今まで一度も言った事のなかった言葉を口にすると、使用人さんは驚いたような表情を浮かべてからにっこりと優しく微笑んだ。
カイジさんも、私がありがとうと言えばこんな風に柔らかく笑ったのだろうか。
涙がじわりと浮かびそうになるから、それを誤魔化すようにケーキを食べた。
大丈夫。私は幸せだ。
だから……大丈夫。大丈夫。