○○するお話【中編つめあわせ】


「カイジ、さん……?」

あまりに掠れた声が出て自分でも驚いたけど……そんなの一瞬だった。私の声が今どうかなんてどうでもよかった。
なんとか絞り出した呼びかけに、カイジさんが優しく、でもどこか申し訳なさそうな微笑みを浮かべて「おー」と答える。
「本当に……?」と無意識に口にしたら「本当に」と返ってきて、だけどだからって信じられる事でもないから、その後も「本当に?」を二回聞いて。
三度目の「本当に?」を口にした時、「信用ねぇな、俺」と苦笑いを浮かべたカイジさんが、私の手を取り自分の胸に押し当てた。

「ほら。ちゃんと動いてるし、温かいだろ?」

手のひらから伝わるのは、カイジさんの鼓動。トクントクンとゆっくりと刻むそれは、ちゃんと分かったけれど……。だからといって、この状況を信じられるほど単純じゃない。
手のひらには同じ体温が伝わってくるけど……でも、そんなハズがない。
だって、カイジさんは半年前に……。

眉をしかめ見上げていると、カイジさんはまた笑って……それから「まぁ、簡単に信じられるもんじゃねぇよな」と話し出す。

「まぁ、簡潔に言うと、一回死んだは死んだんだけどさ、人間に転生したんだよ」
「転生……?」

ただでさえ混乱していた頭が、新しい単語を出されて更に困惑する。

「輪廻転生……とか、そういう……?」

カイジさんが言う言葉が私の理解の範疇を超えていて頭で上手く処理できない。
だから、声になるのは言葉とは言えない単語ばかりで……そんな私に困り顔で微笑んだカイジさんが言う。


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