○○するお話【中編つめあわせ】
「ちゃんと説明するから。……麗、落ち着いて聞けるか?」
落ち着いて……と言われても、そうできるかどうかなんて分からない。
私は多分、カイジさんが目の前にいる時点で冷静さなんて保てないから。
だけど、今のこの訳の分からない状況から抜け出したい気持ちもあるから、静かに頷く。
「よし。じゃあ、ちょっと座って。それから話すから」
カイジさんに促されるまま、さっきまで座っていたベンチに腰を下ろすと、カイジさんが隣に座る。
そう新しくはないベンチがカイジさんが座ったタイミングで小さく軋んでいるのを見て、信じられない思いがまた舞い上がる。
これが例えば、私の夢だとか、私だけが見える幻とか。そういうモノだったらまだ説明がつく。
でも……ああそうか、私が作り上げた幻だとしたら、そうであって欲しいと願って作り出したカイジさんなら、重さがあってもおかしくないのかもしれない。
本当はベンチは軋んでなんかいないのに、私が視覚と思考回路の途中で勝手にそう変換しているだけかもしれない。
そう考えると、理解でき、落ち着けた。
正直、今この状況が夢なのか現実なのかは分からない。
だけど現実だとは簡単にはとらえられないから、とりあえずは幻だって、夢だってしておいた方が私にとっては都合がよかった。
じっと見つめる私ににこりと微笑んだカイジさんが、ゆっくりと話し出すのを静かに聞いた。