○○するお話【中編つめあわせ】
「まず……アレだ。俺は一回死んだ」
「……はい。さっき聞きました」
「で、次に気付いた時には別の場所にいて……なんか周り全部真っ白みたいな、すげー濃い霧ん中みたいな、そんな場所な。
そこで、神様に会った」
「……ソウデスカ」
夢にしても幻にしても、私はカイジさんに何を言わせているんだろうと少しひく。
そんな気持ちが表情に出ていたのか、カイジさんは慌てたように「麗ちゃん、ちょっとひかないでちゃんと聞いて!」と話を進めた。
「いや、俺だって本当にいるとか思ってたわけじゃねーけど! でもいたんだよ、神様がさ、しかも大爆笑してて……いや、麗ちゃん、これ本当に!」
「……イエ、大丈夫デス」
「いやそれ大丈夫じゃない時の言い方じゃんー……まぁ、いいや。とりあえず聞いて。
神様はさ、ずっと俺の事見てたみたいで、俺が苦しんでんの見て腹抱えて笑ってたんだって。愚かだーって」
「……神様がですか?」
「そう。いいんかね、そんな神様。神として失格だし、人間だとか吸血鬼だったとしてもすげーやなヤツじゃん。
そう言ったけど、それでも神様すげー笑っててさー……あれはもう正気の沙汰じゃねぇよ」
眉を寄せて怒りを浮かべながら話していたカイジさんが、ふっと表情を緩め……続ける。
「俺が、滑稽だったんだって。吸血鬼っていう高い身分を持っているくせに人間なんかを必死に守り通した俺が、馬鹿に見えたんだって」
言っている事は無茶苦茶なのに……とてもじゃないけど、そうなんですかと信じられるような事じゃないのに……。
怒ったり笑ったりしながら話す横顔を見ていたら……なんだか急に、もしかしたらこれは現実なんじゃないかって思いが襲う。
でも……でも。
信じきるにはまだ足りない。
じっと見つめていると、カイジさんがこちらを向いて……そして、困り顔でへへっと笑った。