○○するお話【中編つめあわせ】
そういえば恭くん……と思い、何気なく見た、喫煙室。
いつも定時を少しすぎると一服する恭くん見たさに振り向いたのに。
見たかった恭くんは、確かにそこにいて満足なハズなのに……振り向いた事を後悔した。
私にはいけないガラスの向こう側。
白と透明の中間色の煙が邪魔する向こう側。
恭くんの手のひらを覗き込むようにしている田坂さんが、そこに手を伸ばす。
恭くんの手に触れる、田坂さんの指先。
手相でも見てるんだろうなっていうのは、なんとなく分かったけど……こみ上げてくる悔しさだか悲しさだかに、手をきつく握りしめた。
――私以外に触らせないで。
思った事は、きっとうまく伝わらない。
きっと……恭くんも以前のように気持ちを拾ってはくれない。
だから、言葉を呑みこんだ。
喉から……切り裂かれていくかと思った。