○○するお話【中編つめあわせ】
「やだ……っ」
「麗ちゃん?」
「やだ……っ、やだ……!」
カイジさんは不思議そうな声を出して、私の気持ちを探ろうとしているみたいだったけれど……私があまりに嫌がるからか、抱き寄せるために肩を掴んでいた手をそっと離す。
そして、情けないような困ったような顔をして……やっぱり笑顔を作った。
「え……ごめん……。あれ? そんなに俺の事、嫌な感じ……?」
カイジさんが困っているのが分かる。誤解してるのも。
私だって、カイジさんに抱き寄せられるまでこんな気持ちになるなんて思ってもみなかった。
こんな気持ちになるなんて。
私は……私は、もう。
「もう、嬉しいとか、カイジさんにもらいたくない……」
また、いなくなるかもしれないのに。
カイジさんの胸を両手でぐっと押しながら言った言葉に、カイジさんは私の気持ちを理解したのか、申し訳なさそうに「麗……」と呟いた。
多分、今目の前にいるのは本当のカイジさんで、だから嬉しいと思った。
カイジさんがいてくれる事が。また私の名前を呼んでくれる事が、現実かと疑いたくなるくらいに嬉しかった。
だけど……距離が縮まった瞬間、失った時の事がみるみる蘇ってきて。気づいたら拒否していた。
カイジさんがいなくなってしまった事は私にとっては間違いなく絶望で、この世で起こる事、すべての中で一番最悪な事だった。
だから、もうあんな思いは――。
そんな逃げ腰の考えから拒否した私をカイジさんはもう一度呼んで……それから、強引に抱き締めた。