○○するお話【中編つめあわせ】
「どうかしました?」
「麗ちゃん、今笑った……?」
「え? ああ……はい。もしかしたら笑ってたかもしれませんが……」
「ええっ、え、ちょっと、ちょっと麗ちゃん、今笑って! 笑顔、俺にちゃんと見せて」
「え。嫌ですけど。大体、面白くもないのに笑えるわけが……」
「あー、もうっ、なんで俺見逃しちゃったんだよー……。麗ちゃんの初笑顔だったのに……」
頭を抱えたり、がっくりと肩を落としたり忙しそうなカイジさんをしばらくはただ眺めていたけれど。
そのうちに、なんだかおかしく……そして可愛く思えてきてしまって「まったく」と笑みがこぼれる。
「仕方ない人ですね」
多分、今浮かべている表情は綺麗な笑顔とは言えないと思う。
私は今まで笑った事なんてなかったし、だから笑い方もよく知らない。
でも、カイジさんがいつも笑っているから……こういうモノなのかなって思うくらいで。
だけど、私を見たカイジさんが、まるですごく特別な何かを見つけたように瞳を輝かせるから……おおげさだなとまた笑ってしまう。
そんな私に、カイジさんはわなわなと震えだし、そしてとんでもない事を言った。
「やべー……俺もう死んでもいい……痛っ、嘘! 嘘だって! 麗ちゃん、嘘だから!」
どう考えたって、今、その言葉はタブーだ。今と言わず、しばらくは絶対にタブーなのに……デリカシーがなさすぎる。
カイジさんのほっぺをむぎゅうっと抓りながら睨むと、カイジさんは「嘘」と「ごめん」をひたすらに繰り返すから、もうそういう事は言わない事を抓ったまま約束させる。
ついでに、自分の事をもっと大事に考えるって事も約束させる。