○○するお話【中編つめあわせ】
「私、今日ね、褒められたんだよ。作った資料が見やすかったって」
待ち構えてたみたいに、帰ってきた恭くんを玄関まで出迎えて笑顔を向ける。
恭くんにも笑って欲しいって思って、でも、私には田坂さんみたいに恭くんを笑顔にできるような話題もなくて。
だから、前、恭くんが喜んでくれた事を話す事にした。
けど。
「あっそ」
返ってきたのは、興味なさそうな声で。
前なら、自分の事のように喜んで、おおげさなくらいほめてくれたのに。
『お祝いするか!』って、コンビニで一緒にデザート選んだり……してくれたのに。
今は……。
まるで煩わしいとでも言っているような態度に身体が凍りついたみたいになって、視線を落として動けなくなると、上から恭くんのため息が聞こえた。
面倒くさいって恭くんの気持ちを代弁しているようなため息に、ますます動けなくなる。
「なに」
「……ううん」
なんでもない。
首も触れずにただ呟くように言うと、もう一度、今度はさっきよりも大きいため息が落ちた。
それを追うように、「なんだよ。呑み込まれるとイライラする」って。
苛立ちを含む、冷たい声が胸を張り裂いていく。
凍って固まった身体に、ぴしってヒビが入った気がした。