○○するお話【中編つめあわせ】


――何かが、壊れる。

私は、恭くんをこんな風にイライラさせたかったんじゃないのに。
ただ……笑って欲しかっただけなのに。

前みたいに、仲良くしたいだけなのに――。

もう一度「なに」と強い口調で催促されて、出てこようとする涙をぐっと押さえこんでから……ゆっくり口を開いた。

「仕事で頑張ると……前は、褒めてくれた、から……。喜んでくれたから」

途切れ途切れになった声がみじめで、今、恭くんがどう思ってるのかを考えると、居たたまれなくなる。

空回ってる自分が。
うっとうしがられている自分が……恥ずかしくて苦しい。

「でも、もういい。ご飯、だよね」

いつまでもこの話をしているのが嫌で、無理やり切り替えるみたいに言って背中を向ける。

今日のご飯は、ピーマンの肉詰めだ。
恭くんの好物のひとつだし、初挑戦だし、今度こそ喜んでくれるかもしれない。

だって、今日は恭くんの――。

そう考えながら、足早にキッチンに戻ろうとして……後ろから聞こえてきた声にそれを止められた。

「あー、待てって。頭撫でればいーんだろ」

振り返ると同時くらいに伸びてきた手。
視界にそれが映った瞬間……咄嗟に振り払ってた。
パシン、って響いた音が、乾いた空気に消えていく。

ハッとして、ごめんなさい、って言葉を口にしようとして……でも、見上げた先にあった表情に、それが止まる。

あんなに大好きだった分厚い手を……初めて払いのけた自分もびっくりしたけど。
そんな私に驚いた表情でもなく、苛立ちを浮かべた恭くんを見て……何も言えなくなった。

なんで、そんなに冷たい目で見るの……?


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