○○するお話【中編つめあわせ】
「何が気にいらねーんだよ。俺、ちゃんと仕事やってるじゃん。
毎日ちゃんとここに帰ってきてるし」
はぁー、って大きいため息に、上から抑え込まれる。
言ってもどうせ伝わらない。
こういう時、私は上手に気持ちを伝えられないから。
だけど、「なぁ。何が気に入らねーの」って聞かれて。
昔とは違う、温度のない催促をされて……俯いたまま、口を開いた。
「仕事……は、ちゃんとしてる、と思う……」
その言葉に、恭くんが「はぁ?!」って大きな声を上げたから、びっくりして肩が揺れた。
恭くんは普段から声が大きいけど、こんな風に怒鳴られた事はなかったから、驚いてドキドキしながら見上げて……もっと驚く。
思いきり顔をしかめた恭くんが、睨むようにこっちを見ていたから。
……怒ってる。
「仕事は、ってなんだよ……!」
「ご、ごめ……」
「言っておくけどなぁ、俺はおまえのために……」
そこで一度黙った恭くんが、ぎりっと歯を噛みしめてから私をキっとした目で見る。
そして。
「おまえが社長の娘なんかじゃなかったら、こんな苦労してねーよっ!
誰のせいだと思ってんだっ」
そう言った。
――なんで?
――なんで、私のせいなの?
――私が、社長の娘だから苦労してるの?
――私のせいで……恭くんは、苦しいの?
聞きたかった言葉が、声にはならずに部屋にぽとりと落ちる。
――恭くんは……私を、好き?
胸から溢れかえるたくさんの言葉を呑みこんで。
「ご飯……できてるよ」
それだけ言った。
笑えたかは、分からなかった。