○○するお話【中編つめあわせ】


どうせ、兄貴が半ば強引に連れて行ったんだろうけど、一緒に住み始めてから凛が家を空けるなんて初めてだったから、レンジの使い方に少し手間取った。
だってあいつ、新婚ごっこがしたかったのか、俺には料理系なにひとつやらせなかったし。

凛が俺に頼んだ事なんて、吊り戸に入れてくれだとか、逆に吊り戸のモンとってくれだとかそれだけだったように思う。
小柄な凛には背伸びしても届かなかったから……と考えて、そういや最近は頼まれた事なかったなぁとぼんやり考える。

お嬢様のあいつが料理なんかこなせるわけねーし。
そんな風に思って、そのうち泣きついてくるだろと思ってた俺の予想は、いい意味で大きく外れた。

最初こそ戸惑っていたものの、二日目にはそれなりに食えるものがテーブルに並んでいて。
危なっかしくて仕方なかった包丁を持つ手元も、徐々に慣れて、見ていてもハラハラする事は少なくなった。

要領が悪いのに努力は惜しまない。
そういう部分は長所だと思う。

キッチンの仕事をする事にやたらと使命感を燃やしていた凛。
お陰で、自分の使った皿さえ洗った事のなかった俺は、この三日でその面倒さに嫌気が差してきていた。

野菜室を覗くと、サラダ用のカット野菜をふた袋見つけて「お」と思う。
賞味期限が昨日までだけど、まぁ、腹壊す事はねーだろうと判断する。


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