○○するお話【中編つめあわせ】
凛に見合いなんて話が出る前に一人前になって、仕事で評価を受ける必要があると考えたのは、おじさんに凛とのルームシェアを持ちかけられた時だった。
『凛にとっても簡単な花嫁修業になるだろうしね』と、ははって笑うおじさんを前に、俺が凛を、とは言えなくて。
だってそん時俺はただの大学生だったから。
仕事もしていなくて稼ぎもない俺には……情けねーけど、『そうですね』っておじさんに合わせて笑う事しかできなかった。
もちろんそんな事、凛には言ってねーけど。
いずれ凛は他の男と結婚するのかもしれない。
その時感じた危機感は、今でも覚えてる。
「東条さん、今、実家なんだろ? 部屋とか覗いてみてもいい? どっちの部屋?」
アルコールが回ったのか、赤い顔した林が、俺の部屋と凛の部屋を交互に指さしながら聞く。
「あっち。けど、あいつ片付けんの苦手だから、どうせ部屋ん中すげー散らかってるし、後でバレた時面倒だろ」
「へー。片付け苦手なんだ。……まぁ、それっぽいけど」
はは、っと笑う山下の素直さに笑っていると、不意に林が立ちあがって凛の部屋の方に歩き出す。
「おい、やめとけって」と一応声をかけたけど、酔ってるのか、林は止まる様子はない。