○○するお話【中編つめあわせ】
それから一週間経っても、凛はアパートに戻らなかった。
でも、あの兄貴を考えれば、そう簡単に凛をこっちに寄こすとも思えないし、そう不思議にも思わなかった。
ただの幼なじみだって表上は言ってんのに、あの警戒心。
本当は付き合ってんだなんて言ったらどうなるかと考えるだけで面倒くせー。
まぁ、凛には悪いけど、しばらく実家にいて兄貴のご機嫌取りしておいてくれると助かる。
そんな風に呑気に……というよりも、無責任に考えていた。
「そういえば最近、愛妻弁当じゃないよな。まだ東条さん、実家?」
食堂で食べてると、そんな事を言いながら、林が隣の椅子を引く。
昼時の食堂は来るもんじゃねーな、と混雑具合にげんなりしている俺とは違って、林は最近は席の数が増えたからマシだと笑って言った。
同棲してから毎日弁当だったから気づかなかったけど、この混み具合は普通じゃねー。
どっかのアミューズメントパークのパレードかっつーくらい人間が密集してる。
「愛妻じゃねーって言ってんだろ」
「そういえば先週、東条さんと話しちゃったよ。まぁ、緊張しちゃってて会話にならなかったけど」
会話にならなかったっつーのに、そう気にしている様子も見せずに言う林が、割り箸を割りながら俺を見る。