○○するお話【中編つめあわせ】


「国見ですけど」
『ああ、恭くん?! 久しぶりねぇ。元気?』
「はい。元気にやってます」
『もー、ルームシェアなんて、凛が迷惑かけてるでしょう? 本当にありがとうね』
「いえ。俺も似たようなもんですし。……あの、凛はもう帰りました?」

兄貴が帰ってませんように。
そう願いながら聞くと、おばさんは『あら、聞いてない?』と驚いたように言った。

『あの子、今日からお父さんにくっついて出張行ったのよ。京都に一週間。
その準備もあるからって、こっちに帰ってきたみたいだけど……やだ、あの子、恭くんに何も言わずに出てきたの?』

「え……」と、知らずに声が漏れた。
京都に一週間? 出張? 社長と一緒に?

何も、聞いてない。いや、覚えてねーだけで、言ってたか……?

ここ数ヶ月は、未開発の営業エリアもらえて、そこで結果残したくて必死だった。
だから、家帰ってきても、飯食いながらも仕事ばっかで……。
でも、飯食べながら凛が何か言ってた気はする。それに適当に相槌打ってた気はする……。

あれ、と思う。
思い出そうとしてみても、ここ数ヶ月、飯食いながら凛と何を話したのか……夕飯が何だったのかも思い出せなくて。
愕然とした。

ここ数ヶ月の凛との事って記憶辿って思い出せんのは。
最後の喧嘩した時の事だけだった。


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