○○するお話【中編つめあわせ】
『前日になって急に教えてって言ってくるんだもの。練習なんかできないし、困ったわー。
でもハンバーグは作れるんだからその要領でやれば大丈夫よって言ったんだけど……ピーマンにちゃんとくっついてた? はがれてなかった?』
「……はい」
『あ、本当? あの子に聞いても、ちゃんとできたってそれだけで教えてくれないんだもの。
でもちゃんと出来てたならよかったわー。恭くんの好物だものね』
上手い言葉が浮かばなくて、ははって乾いた笑いだけが落ちた。
凛と喧嘩した日の夕飯が、確か、ピーマンの肉詰めだった。
うまかったっけ……?
思い出せない。
『ケーキ買ったのって聞いても、恭くんは働き出してから甘いモノあまり食べなくなったからって、プリンにしたって言っててね。
そういう時は食べなくてもケーキの方が華があるでしょうにねぇ』
プリン……なんて、食ったっけ?
そう考えて、ほとんど空っぽになった冷蔵庫の中が脳裏に浮かぶ。
飲み物ばかりの冷蔵庫の中、一番上段。
プリンがひとつ置いてあるのは目に入っていた。
でもどうせ、凛が自分で食べるように買ったんだろうって気にしてなかったけど、あれは――。