○○するお話【中編つめあわせ】
『こっち来た時にはおばさんがケーキ用意するからね。近いうちに寄ってね。遠くないんだから』と、最後まで明るい声で話したおばさんが、電話を切る。
俺は耳にあてていたスマホを離して、それを下した手でゆるく握ったまま冷蔵庫のドアを開けた。
一番上段に置いてあるプリン。
手に取ると、上蓋のカップんとこに何か書いてある事に気付いた。
〝ハッピーバースデー〟
凛の字だった。
凛は、こういうデザートは、なんでもひとつだけじゃ買わない。
だからこのプリンも、俺の分だけ買ったわけじゃない。
きっと、その日……俺の誕生日当日。凛はひとりで食ったんだと思う。
俺は多分、断ったんだろう。
プリンあるよって言われて、でも誕生日だとかすっかり忘れて、しかも喧嘩した後でイライラしてた俺は。
きっと、いらねーって……断ったんだ。
プリンの上にキウイやらブルーベリーやら生クリームやらがどっさりと乗っている、いわゆるプリンアラモードには見覚えがあった。
確か、凛が初めて仕事で褒められた時、祝わないとなってコンビニで一緒に選んだやつ。
賞味期限は11日前にとうに切れていた。
それもそのハズだ。
俺の誕生日は、二週間以上前なんだから、買ったのはその日かもっと前になる。