○○するお話【中編つめあわせ】
「彼氏にでも聞いてみればいいんじゃないですか? ここで話してても仕方ないですし」
別に、最初に林が言ってた事を忘れてたとかじゃねーけど。
「おまえの事気になってる」とか言ってたのは覚えてるけど、わざと聞いてなかった振りをして言った。
田坂は先輩だし、これで察して引いてくれたらいいと思って。
でも。
「やだぁ、国見さん。さっきの話聞いてなかったの?」
「はは、なんでしたっけ」ととぼけて「それより」と話題を変えようとすると。
「もう一度、言わせようとしてる?」と熱のこもった視線を送られて、苦笑いすら消えそうになった。
林を睨みつけてやりたくても、俺の正面に林と田坂が座ってるからそれもできない。
……帰りたい。
「本当はね、ただ見てるだけでもいいかなって思ってたのよ?
でも、東条さんに背中押してもらったから、じゃあって勇気出してここに来たの」
突然飛び出してきた名前に、思わず声を呑んだ。
それから「え?」と聞き返した俺に、田坂が笑顔で続ける。
「東条さんって、国見さんとは幼なじみで仲がいいんでしょう?
それ聞いたから、東条さんに話しかけてみたの。
国見さんの事聞いたら、今は彼女いないって言っててね。
少し前に別れたばっかりでチャンスだからって、背中押してくれて」
田坂の言葉が、頭ん中でぐるぐると回る。