○○するお話【中編つめあわせ】
「お見合いさせられそうになった、なんて言ったら……驚く、かな」
もちろん、断ったけど。
その場では、笑顔で交わして、お父さんとふたりきりになってから怒った。
そんな気ないのにって。勝手に決めないでって。
恭くんじゃない人となんて嫌……とは、言えなかったけど。
考えているうちに涙が一気に溢れて目尻から零れ落ちるから、枕を抱き締めるようにして顔を覆った。
大丈夫。涙が出るのは仕方ないんだ。
気持ちなんて簡単には変わらないし……第一まだ。
――私は恭くんが好きなんだから仕方ない。
あんな関係になっちゃったのに未だに好きだとか少し呆れて……いっぱい苦しくて息ができない。
本当は優しい恭くんが変わっちゃったのが、苦しい。
私に笑ってくれなくなったのが。
他の人に笑顔を向けるようになったのが。
どうしょうもなく、苦しくて痛い。
でも、あの部屋で一緒にいるよりは、今の方がまだ楽な気がした。
好きの気持ちは変わらなくても、面倒くせーって目を向けられる事がないだけ、気持ちが楽だ。
恭くんの反応を勝手に期待して、その期待通りには全然ならなくて、冷たい態度にひとり裏切られたような気持ちばかりを感じているよりも、ずっといい。
恭くんにだって、面倒くさがられなくてすむ。
私は今まで、本当にたくさんたくさん恭くんに迷惑をかけてきたから。
煩わしい思いをたくさんさせてきたから。
『しょーがねーな』って、たくさん助けてもらってきたから。
だからもう、恭くんに面倒くさい思い、させたくなかった。
例えそれで……別れる事になっても。
好きな人を困らせるのは、別れるよりももっと悲しいから。