○○するお話【中編つめあわせ】
「自然消滅……って思うかな」
ぽつりと、何気なく呟いただけなのに、声にした途端、言葉が重みを増す。
自然消滅……。
恭くんはきっとそう思うよね。
それで……そのうちに次の恋に進むんだろうなって考えてまたぶわって涙が溢れた後、ふと田坂さんの顔が浮かんだ。
出張に行く二日前。
会社を出ると田坂さんが外で待っていて、会釈だけして通り過ぎようとした私を呼び止めた。
『国見さんと幼なじみなんだよね?』
『国見さんって、彼女とかいるのかな』
田坂さんの好意は、喫煙室のガラス越しに知っていたから、恭くんの事を聞かれてもそんなに驚かなかった。
最近別れたみたいです、とか。
チャンスです、とか。
迷った挙句、そんな事を言って田坂さんの背中を押したのは、田坂さんなら恭くんを笑顔にできると思ったからだ。
だって、知ってたから。
ガラスの向こうでふたりで笑ってるの、見てたから。
だから……ああ、そっか。身を、引かなくちゃって思った。