○○するお話【中編つめあわせ】


夕方、家について、持ち歩いていたキャリーケースを部屋に運ぶ。
開いて、片付けなくちゃ……と思いながらも、でもこのままでも誰にも怒られないし、明日でいっかなんて考える。

だけど、洗濯物くらいは出しとかないと、と、とりあえずケースの中を漁っていて……紙袋が指先にあたった。

お土産にって、買ったキーホルダー。

宮地さんを含む庶務課の人に買ったお土産は、ちゃんと紙袋に入れて別にしてあるけど……誰にってわけでもないキーホルダーは、買ったもののどうすればいいのか分からなくて。
結局、ケースの中にしまい込んだのは、昨日の事だ。

薄い紙袋の中で鈴がチリンと小さく鳴る。
通りかかったお店で、なんとなく手が伸びたキーホルダー。

ひよこの鈴なんて、ちっとも京都とは関係ないのに、なんか可愛くて一度手に取ったら戻せなくなった。
理由は多分……ひよこが可愛い名前を裏切るように目つきが悪かったからだと思う。

目つきの悪さが、恭くんに似てたからだ。
だから、手に取った。

せっかく優しく笑えるんだから、もっとニコニコしてた方がいいよって言ったのは、高校生の頃だったか。
笑うと疲れるからいいって、作り笑顔は表情筋が痛いしって、ぶすっとした顔で言った恭くんが嬉しかったのは、私の前では笑ってくれることを知ってたから。

笑顔を向けられる度に、特別なモノをもらってる気持ちになって嬉しかった。


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