○○するお話【中編つめあわせ】
洗濯物を出して、ふと時計を見ると定時を三十分すぎたところだった。
今頃、恭くんは喫煙室かなとぼんやり考える。
煙草、やめた方がいいよって言うと、わかったわかったって笑ってたけど……きっと、話半分でしか聞いてなかったんだろうなぁ。
煙草は、百害あって一利なしって言う事、恭くんだって知ってるはずなのに。
大体にして恭くんは自分の事に対して無頓着すぎるんだ。
私には、お風呂の後、髪すぐ乾かせとか、薄着するなとか口うるさく言うくせに。
……なんて。また。
自分から離れたくせに恭くんの事ばかり考えちゃって、そんな自分にため息が落ちる。
だから、切り替えなきゃって、自分で自分の顔を両手でパシンと叩いた時。
バタバタと階段の音が聞こえてきて、ノックもなしにドアが開いた。
文字通り転がり込むようにして入ってきたお兄ちゃんにぎょっとする。
「お、おかえりなさい……」
「おう……っ、凛、も、出張……ご苦労さん……」
はぁはぁ、と息を切らせながら言うお兄ちゃんに、少し引く。
私が帰ってくるからって、まさか走って帰ってきたのかな……。
だとしたら……だとしたら、ちょっと。
「そういえば、恭くんから連絡あった? 荷物、運べとか……」
「恭……っ、いいや、ないっ」と焦った様子で、でも、きっぱり言い切ったお兄ちゃんの答えに、じゃあまだメモには気づいていないんだなぁと思う。