○○するお話【中編つめあわせ】


遠目からだけど、肩が上下してるのが分かる。
お兄ちゃんと言い争ってたからか……それとも、お兄ちゃんみたいに走ってきたからなのか。

久しぶりに見る恭くんに、じわって、胸の奥から焼けていくように熱くなる。
私を見上げる目が冷たくないから、余計に。

「凛っ、下りてこい!」
「凛! こんな恭太なんかの言う事聞いちゃダメだからなっ!
お兄ちゃんの言った通り部屋から出ちゃいけません!」

あまりの騒々しさに、「近所迷惑でしょう!」って怒りながら外に出て行ったお母さんだったけど。
恭くんを見るなり、その表情と声色を一変させた。

「あらー、恭くん! 久しぶりじゃない! いい男に育っちゃって……あ、今日時間あるの?
なら、ケーキ買いに行きましょうか! ケーキ!」

……なんでケーキなんだろう。

「なんだよ、ケーキって!」と、言ったのはお兄ちゃん。
やっぱり兄妹だな……ってどこかガッカリしながら見ていると、恭くんは申しわけなさそうに笑った。

……笑った。



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