○○するお話【中編つめあわせ】
「いや、今日は凛にちょっと話があってきただけなんで……。
ケーキはまた後日お邪魔した時にでもご馳走してください」
「そう? じゃあ、また今度ね。来る前に連絡くれたら用意しておくから遠慮なく言ってね?」
「はい」と答えた恭くんに満足そうにしたお母さんが、ふいにこっちを見上げる。
そして私が顔を出している事に気付くと、「なんだ、見てたなら下りてきなさいよ」と呆れたように言った。
その隣でお兄ちゃんは相変わらず「そこから動くんじゃない!」って叫んでるけど……。
お母さんが「お兄ちゃんは黙ってなさいね」と、笑顔の圧力でぎゅうううって押さえつけてる。
うちの上下関係において、お兄ちゃんは最下層。
どっちに従うかなんて迷う余地もなかった。
迷う余地はないけれど……。
じっと見上げてくる恭くんに、そっと目を伏せる。
恭くんはなんでここに来たんだろう。
それを考えると、期待してる自分がいて。
メールを期待しないためにアドレスまで変えたのに……。
顔を見たらそんな事なにひとつ役に立たなくて。
連れ戻しにきてくれたんだと勝手な期待を浮かべる気持ちを、ぎゅっと奥に押し込んだ。