○○するお話【中編つめあわせ】


「私じゃない人には笑うのに……っ、なんで……!」
「……ごめん」
「手、も、触らせてた……っ!」

何のことだか分からなくて「手?」と聞き返すと、「喫煙所で、手相……っ!」ってぶつ切りの単語が返ってきて……ああ、と思い出す。
田坂の事言ってんだって。

こないだ林に紹介されるまで名前も覚えてなかったヤツだし、まったく意識した事もねーヤツだし、正直大した事じゃねーだろと思いながらも……。

でも確かに、凛が他の男に同じ事してたらイラつくなと思い、素直に「ごめん」と謝った。
ひっく、としゃくりあげながら泣く凛を抱き締めたい衝動に駆られるも……今の俺にはそれが許されない気がして、ぐっと抑える。

代わりに、拳のまま俺の胸に置かれている手を上から握った。
凛はびくって方を揺らしたけど。離さなかった。

「凛、他は? 他に呑み込んだ言葉、全部言って。全部、謝るから」

きっと、いくつも見逃してたハズの、凛が呑み込んだ言葉。気持ち。
今更掘り起こしたところで、その時傷ついた凛を救う事はできないけど、そのままにしておくのは嫌だった。

俺が見逃したモンは、俺が、拾ってやりたかった。
例えもう遅くても。
手を伸ばして、拾い上げたかった。


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