○○するお話【中編つめあわせ】
「凛?」と、静かなトーンで促すように呼ぶと、まだ泣いている凛が言う。
一回りも二回りも小さい手が、俺の手の中で震えていた。
「昔みたいに、戻りたい……」
それは、普通に笑い合ってた頃の恋人っていう意味なのか。
それとも……幼なじみっていう意味なのか。
今の言葉だけ聞いたらきっと、前者の意味合いでしか受け取らなかったけど。
さっき、幼なじみに戻ろうと言った凛の言葉を思い出して、喜べない。
凛の手の震えが伝染したかのように、吸いこんだ空気が喉の奥で震える。
離したくなくて、凛の手を握る手にぎゅっと力を込めた。
どっちなのか聞いたけど、凛は答えようとはしなかった。
その様子に、やっぱり、幼なじみに戻りたいっていう意味なのかもしれないと思うけど……。
だけど、それならそれで言えばいいのに、凛は泣くだけで何も言わない。
頑固なヤツだから、自分で決めたらそう言うのに。
言った上で、俺にいいかって聞いてくるのに……なのに今は言わないって事は。
まだ俺にもチャンスは残されているのかもしれない。
わずかでも、凛が揺れてくれてるのかもしれない。
こんなんは、付け込むみてーで嫌だけど。
それも、構ってられなかった。もう、ズルくてもなんでもいい。