○○するお話【中編つめあわせ】
「なぁ。もしかして、俺の事、もう嫌い?」
ズルい……ってもらした声に、恭くんは「ごめん」って謝ったけど。
多分、全然そんな風には思ってない。
だって恭くんは気づいてる。
私が……結局は、恭くんから離れられないって。
嫌いになんてなれないって。
私だって、気付いてる。
本当は、二階の窓から恭くんを見つけた時から……もうとっくに許してるって。
「嫌い、じゃない……」
なんとか繋いだ声で言うと、恭くんは安心したように微笑んでから「じゃあ触っていい?」と聞いた。
触るって、涙に、って事かな。
それとも、違う意味?
そんな事を考えていると、私の返事を待たずに「触るよ」って言われて。
頬を優しく撫でる手に、小さく身体がすくんだ。
久しぶりに感じる恭くんの分厚くて大きな手に、尖っていた気持ちが丸くなる。
張っていた意地が、溶けていく。
あんなに、もう上手くいかないなんてごねてたくせに、結局とっくに許していた自分が矛盾だらけで、自分自身の気持ちさえ分からなくなるけど……。
でも、恭くんのぬくもりに、これでよかったんだと感じて。
触れた部分からじわじわと温かさが広がる。
優しい手を噛みしめるようにぐって俯いて目を閉じていると、不意に覗き込むようにしてキスされて……身体が強張った。