○○するお話【中編つめあわせ】
恭くんの親指を握って口から離し、もう片方の手にずっと握ったままだった鈴を、恭くんの胸に押し付けた。
ひよこの鈴が、チリンって小さく鳴る。
その音に、恭くんが、私の手から鈴をとって……「鈴?」って片眉をあげた。
「京都の、お土産」と、涙声のまま言うと、ふって笑われる。
仕方ねーなって感じで。
「京都土産がなんでひよこの鈴なんだよ」
「それ、恭くんに似てたから」
「目つきがか」
そう笑う恭くんをじっと見つめながら、すっと息を吸い込んだ。
泣きすぎたせいで熱くなった身体に、少し冷たい空気が入り込んでいく。
ふたりで暮らした部屋の空気が。
「その鈴が鳴るたび、思い出して」
「なにを?」って言おうとしたんだと思う。
恭くんはこっちを向いて……でも、私が真面目な顔してたからか、何も言わずに黙っていた。
黙って、私の言葉を待っていた。