○○するお話【中編つめあわせ】
「なんで、知ってるの?」
「んー、会社で結構噂になってたから。
普通、いくら社長っつっても、娘を出張に連れて行かないだろ。だから、わざわざ連れて行くには意味があるんだろうって」
「……そっか」
私はただ、勉強のためって言われて納得してたけど。
そっか。普通はそんな風に考えたりするのかって感心してしまう。
そういえばこの話をした時、宮地さんもそんなような事を言ってたっけ。
顔見せがどうのって。
みんなすごいなぁ。
「まぁ俺も、林と田坂に言われなきゃ気づかなかったけどな」
自嘲するみたいに笑う恭くんが言った名前に、ドキっとする。
そうだ、田坂さん……。
「そういや田坂の背中押したんだってなぁ」
「そ、れは……」
その時は、それが一番いいと思ってそうしたハズなのに。
責めるような口調に、何も言えなくなってしまう。
でも……恭くんが怒っても当然だ。
恭くんが私と付き合ってると思ってくれていたなら、私がした事は裏切りだから。
私だって、恭くんと付き合ってるのに、恭くんから他の人を紹介されたら傷つく。
だから、謝ろうとしたのに。
恭くんは、「別に怒ってるわけじゃねーけどさ」って、ため息をつきながら言って。
それから「田坂の事は、ちゃんと断るから」って困り顔で微笑んだ。