○○するお話【中編つめあわせ】


「はぁ。怖がったところでどうにもならないですから」

「どうせ、血吸われて殺されるんでしょう?」と続けられた言葉に、扱いにくさを感じて苦笑いが零れた。

「そう頭で理解するまでは分かるんだけどさ、普通、そう思ったところで怖がっちゃうもんじゃない?」

そう聞くと。

「……さぁ。私には普通だとかってよく分かりませんから」と、それまで以上に覇気の感じられないトーンで返事をされた。
普通……まぁ、そうか。貴族ってなれば、普通の人間とはまた少し違うのかもしれない。

「貴族って、やっぱり普通の人間とは違うの?」

質問に、少女はチラリと俺に視線を向けた後、窓の外にそれを逸らした。

「違うんじゃないでしょうか。私には何が違うか分かりませんけど……差別されているくらいですから」
「差別? 差別っつーより、崇められてるもんなんじゃねーの?」
「貴方は知っているかしりませんけど、人間界には云われがあるんですよ。
昔昔、貴族がすべての血を差し出さなかったばかりに吸血鬼が普通の人間までもを襲うようになったと。
だから貴方方の世界で貴族がどう言われているのかは知りませんが、人間界の中では貴族はあまりよくは思われていません」

初めて知る情報に、まさかと思う。
昔、吸血鬼が貴族を襲った話は知っていた。血に狂い、制御の利かなくなった吸血鬼たちは貴族の血を吸いつくしたと。
記憶操作はできなかったと聞く。
命まで吸い取ってしまった後だったから。

もしかしたら、その話が人間界ではこじれて伝わっているのかもしれないと思い、少しの申し訳なさを感じながらもまぁいつの時代も弱肉強食だし仕方ない事だと思っていると少女が続ける。


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