二度目の恋の、始め方
遠くからでも分かる栗色の髪。校則に厳しい名門校で唯一、あの髪色が許されている彼は「特別」だからだろう。友達と楽しそうに会話をする姿は、大人っぽい彼とはまた違ってあどけなさが残る。
カッコいいだけじゃ言い表せない美貌をもつ彼は、何処にいても目立つ存在。
「目の保養だね~。……にしてもSクラスは呑気で良いね~。ウチらなんて毎週あるテストに四苦八苦してんのに、エリートは違うのね~って聞いてる?凛ってば!」
「……え?あ、ごめん」
「もぅ。どうしたの」
「別に何もないよ。それよりきょん、今日は学食?」
「もち。おばちゃんのオムライス食べないと午後から頑張れないでしょ~」
「じゃあ行こう」
きょんは名残惜しそうに屋上から視線を外すも、学食のオムライスを思い出してニヤけ顔。そんなきょんを微笑ましく思いながら、胸の痛みに気付かないフリをして席を立ったその時、グラッと視界が揺れた。
ガタンッ!
「………っ」
「えっ、ウソ、凛!?大丈夫!?」
「……あ……ごめん。」
机に両手をついて、フラつく身体を支える。そう言えば、最近寝不足だったかも。