二度目の恋の、始め方
「りんりん顔色、悪そうだけど平気なのー!?」
屋上の柵に身を乗りだして、思いもよらない言葉を投げてよこす理玖(リク)とは中学三年間ずっと同じクラスだった。女の子顔負けの可愛らしい容姿をした理玖の人気は、中学の頃から凄まじかった。
「…………」
「りんりん聞いてるー!?」
「その呼び方、やめ……っ!」
あの楠木理玖が私に話かけることで、周りの女子生徒からの視線が痛い。窓枠に手をかけて身体を屋上に向けたその時、栗色の髪がふわりと揺れて、一度も振り向くことのなかった彼の瞳が私を捉えた。
……………ゆ、雄大。
「ちょ、見てる。あの宮路雄大がこっち見てるよ、凛!ヤバいよ、カッコいい~」
「……きょん行こ」
「え~もう少し。痛いよ、引っ張らないで~」
瞬時に視線をそらし、興奮冷めやらぬきょんの腕を取って足早に教室を出た。