恥ずかしい二人
そういういきさつで、ちょっぴりピンクなムードが2人を支配した訳だけど、いかんせん急展開過ぎたし、ここぞという時に間違いなく「ハズす」私が、そんなシチュエーションにうまく乗っかれる訳などなく、そして、それよりも何よりも。


「あのさ」


右手で後頭部を掻きながら、私はポツリと呟いた。


「何か、全然そういう気分に、なれなかったんだよね……」


1ミクロンも、大人の女性としてのムラムラ感が湧き起こって来なかったというか。


言ってしまってから私はすぐさま『あ、しまった!』と後悔した。


またもや場の空気を無視した、余計な一言を口走ってしまったか!?


しかし、あたふたと焦る私の耳に、意外な言葉が届いた。


「実は俺も」


「へ?」


木ノ内君は苦笑いを浮かべながら、ゆっくりと振り向く。


「正直、お前とキス以上の事をするってのは、イマイチ想像がつかないよな」


「木ノ内君……」


「たとえ酔った勢いでもさ。つーか、むしろ急ぎたくないっていうか……」


一瞬真顔で呟いてから、すぐに木ノ内君はおちゃらけた表情、口調で続けた。


「まったく、恋愛初心者の中学生かっつーの!」


「良いんじゃない?」


怒っていたというよりも、彼はすこぶる照れていたようだ。


そのツッコミでだいぶ雰囲気が和やかになったので、私は内心ほっとしながら主張した。
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