お前が愛しすぎて困る
「花南じゃない。
江梨子に会って遅くなっただけだ。」
「な、なーんだ。
俺、とうとう花南ちゃんが
お前なんかに捕まったのかと…。」
隆太をギロリと睨む。
『しまった!』
という表情をした隆太が口を閉じた。
「…花南とはそういうんじゃねぇよ。」
二人で出かけるし、
大事にしてるけど、
「女」としてじゃない。
「花南」という一人の人間として、
一緒にいるだけ。
「でも、花南ちゃんは?」
珍しく隆太が神妙な顔をしている。
「お前だけじゃん?
あの子が一緒にいるのって。
あんな可愛い顔してんだから
寄っていく男多かったのに、
お前以外には懐かなかったよな。
どう思ってるんだろうな?」
PCに向かったままで話を続けた。
「夏美にも懐いてただろ。」
夏美も大学で同期だった奴。
女だけど男みたいな性格で、
よく一緒につるんでいた。