Treasure
「遠野」


刹那があたしを呼ぶ。
なぜか真剣な声で。

せっかく良紀見れたのに、何ですぐ刹那を見なあかんねん。
目の保養にならんやんか。


「何?」


イラつきをぶつけるように、刹那を睨む。

刹那は真剣な目をしていて、それは昨日と同じだった。


「お前、利恭が好きなん?」


―――はっ…!?
びっっっくりするわ。
心臓止まるわ!


「んな訳ないやん。何ゆうてんの」

「…ふーん?」

「………何よ」


頑張って冷静さを装う。
ほんまはむっちゃ動揺してんねんけどな。


「遠野って、分かりやすいな」

「―――??」


刹那は、まるで何もかも分かった様子だ。

…分かりやすいて何よ。
意味分からん…。


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