さちこのどんぐり
子供を亡くしてしまってた夫婦は
さちこを大切に可愛がってくれました。

奥さんは毎日、さちこに美味しいご飯をくれて、

その度に
「あなたは本当にかわいいわね」って
頭やアゴのところを優しく撫でてくれました。

それに、たまにオシッコでさちこが失敗しちゃっても
怒られることもありませんでした。

さちこはそんな奥さんの膝の上がお気に入りでした。

暖かい膝の上で優しく撫でてもらっているうちに、
いつもさちこは眠ってしまいました。

ご主人は山登りをしているらしく、
さちこを膝に乗せて、たくさんの山の写真を見せてくれました。

この山はどういう山だとか、登ったらどうだとか、よくわからなかったけど、
さちこもいつか「山」に登ってみたいにゃって思ってました。

さちこは二人が大好きでした。

だから大人ネコになってからも、さちこは人間が大好きでした。

でも、さちこにとって幸せな日々は長くは続きませんでした。

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