さちこのどんぐり
お見舞いに行った正樹の病室は壁や床から棚まで「白」だらけの個室
白いカーテンも中途半端に閉まったままだった。

そのカーテンの隙間から漏れる日差しに
病室にいる正樹にも今日が「晴れ」だということは分かっていただろう。

また、元々細かった彼の顔が一層小さくなったように見えた浩二は
彼の容体が良くないことを悟った。


「早く元気になって、また一緒にオムライス食いに行こうや!」

以前から
正樹の病状があまり良くないことは浩二も結衣も知っていた。

「そのときはお祝いだから奢ってくれるんだろうな」

「もちろん、奢ってやるよ!」

正樹も結衣たちに気を遣って無理に元気なふりをしている。
結衣はそんな気がしていた。



「そんなことより…お前ら付き合ってんだろ?」

突然の正樹の言葉に結衣は顔が「かあっ」となるのを感じた。

「違うよ!誤解すんな!そんなわけないやろ!」

浩二がバレバレに動揺しながら大きな声をあげる。



「そうかな?お前らお似合いだと思うぜ」
ニヤニヤしながら話す正樹に

「こいつはただの幼なじみや!こんな乱暴な女と付き合うわけないやろ!」
と必死で否定する浩二に結衣は少し「イラッ」とした。

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