彼岸の杜
「僕の居場所は最初から彼女のもとにあった。その彼女がいない今、僕は彼女の代わりに神社で一生を祈りながら仕えます。それが僕の償いで、僕が捧げられる愛し方です」
初めて聞いた清二さんの茜への愛の言葉は想像よりも甘くなくてどこか寂し気だったのに、穏やかで慈愛に満ちた音をしていた。
そのまま頭を下げてからあたしの手を掴んでさっさと出て行ってしまう。いきなりの清二さん家出発言に他の人も対処できないらしい。おおう、こんなに行動的だったとは…清二さんの新たな一面を見た感じだ。
しばらく無言のままで2人歩いていく。清二さんは何も言わなかったしあたしもこの状況で何を言えばいいのかわからなくて結局口を閉ざしてしまう。
本当にこのまま家を出ちゃっていいの?とか茜のこととか、これから神社で暮らすこととか聞きたいことはいろいろあるけど茜とよく似た清二さんのことだ。自分で決めたことは絶対に最後まで貫くに違いない。
「あの、」
「あぁ、すまない」
神社につく前に手を放してもらいあたしは気にしてないというように首を振った。実際全然気にならなかったしね。なんというか、お兄ちゃんに手を引いてもらってる感じ?お兄ちゃんいたことないけど。