強引社長の甘い罠
「ちょうどこのWebデザインを七海さんにお願いしたところだったからですよ。彼女ならうまくやってくれると思います。彼女も先ほど快く引き受けてくれましたし……」

 鈴木課長の言葉に私は目を剥いた。ちょっと待って。私は引き受けたつもりはない。そりゃあ、引き受けたらエステのフルコース全てサービスは魅力的だけれど、それでもやっぱりそれとこれとは話が別だ。私は焦った。

「えっと、課長。私はまだ引き受けると言ったわけでは……」

 しどろもどろになって言うと、祥吾が急に嬉しそうに頷いた。

「鈴木課長、彼女もこう言っています。僕も同じ意見ですよ。モデルならもっと若い……」

 祥吾がぐるりを辺りを見回す。そしてちょうどフロアに入ってきた皆川さんを見つけて言った。

「彼女のような子の方が適任でしょう」

 祥吾に視線を向けられ、皆川さんが「へっ?」と間の抜けた声を出した。ぽかんと口を開けて私たちを交互に見ている。
 祥吾はさらに言った。

「彼女にお願いした方がいいと、僕は思いますね」

 フッと口元を綻ばせて言う祥吾に、私は腹立たしさを隠せなくなってきていた。

 確かに皆川さんは私よりも若くて、肌だって私よりハリがあって当然だ。けれど、私には無理だってどうして祥吾が決め付けるの? 鈴木課長は私なら大丈夫と言ってくれているのに、どうして私の恋人であるはずのあなたがダメだと言うの? 彼は私に不満があってそう言っているの? だったら証明してあげる。私でも充分にその役をこなせるということを。
< 133 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop