強引社長の甘い罠
軽く押し問答が始まろうとしていたとき、不意に人影が出来た。陽気な声が降りかかる。
「お待たせ、って言いたいところだけど、お邪魔だったかな?」
声のした方を振り仰ぐと、見覚えのある人懐こい笑顔がそこにあった。
「遅かったじゃないか」
「ああ、悪い。帰り際にやってきた患者さんがいてね。無理してきた患者を追い返すなんて出来ないだろう? 少し遅れるとメールを打っておいたはずなんだけど」
祥吾が訝しげに眉根を寄せた。すぐに胸ポケットからスマホを取り出して確認している。
「あー…悪い。全然気がつかなかった」
人の良さそうなその男性は、私たちの向かい側の椅子に腰を下ろした。パッと瞳を輝かせて私を見つめる。
「元気になったんだね」
そう言って笑ったその男性は、私が昨日、祥吾に連れられて行った病院で、私を診察してくれた医者だった。
「あ、はい。あの、その節はお世話になりました」
ペコリを頭を下げてから再び彼を見ると、やっぱり人懐こい笑みを浮かべたまま私を見ていた。興味深そうに、じっくりと観察するような視線で。
「おい」
祥吾の咎めるような鋭い一声で、その男性はやっと私から視線を外した。そして祥吾と私を交互に見ながらまた笑った。
「ごめん。長い間ずっと気になってたものだからつい、ね」
「はあ……」
「お待たせ、って言いたいところだけど、お邪魔だったかな?」
声のした方を振り仰ぐと、見覚えのある人懐こい笑顔がそこにあった。
「遅かったじゃないか」
「ああ、悪い。帰り際にやってきた患者さんがいてね。無理してきた患者を追い返すなんて出来ないだろう? 少し遅れるとメールを打っておいたはずなんだけど」
祥吾が訝しげに眉根を寄せた。すぐに胸ポケットからスマホを取り出して確認している。
「あー…悪い。全然気がつかなかった」
人の良さそうなその男性は、私たちの向かい側の椅子に腰を下ろした。パッと瞳を輝かせて私を見つめる。
「元気になったんだね」
そう言って笑ったその男性は、私が昨日、祥吾に連れられて行った病院で、私を診察してくれた医者だった。
「あ、はい。あの、その節はお世話になりました」
ペコリを頭を下げてから再び彼を見ると、やっぱり人懐こい笑みを浮かべたまま私を見ていた。興味深そうに、じっくりと観察するような視線で。
「おい」
祥吾の咎めるような鋭い一声で、その男性はやっと私から視線を外した。そして祥吾と私を交互に見ながらまた笑った。
「ごめん。長い間ずっと気になってたものだからつい、ね」
「はあ……」