強引社長の甘い罠
「……ダメよ。だってここはあまりにも……」

 心許ない。いくら離れとはいえ、ここは部屋の中ではない。星が瞬き、時折風が肌を心地良く撫でていくこの場所でだなんて……。

「誰もいないよ。俺たちだけだ」

 祥吾が私の首筋に、そして鎖骨にと唇を滑らせていく。嘘、やだ、本気?

「……しょうっ……んっ……」

 ここは紛れもなく外なのだ。いくら祥吾が誰もいないと言っても私にそんな勇気はない。祥吾の、遠慮のない甘い愛撫に抗えず漏れる声を、私は必死に噛み殺そうとする。だけどそんな私の反応をも、彼は楽しんでいるみたい。抵抗できるものならやってみろ、といわんばかりに彼の愛撫は私を昂らせていった。

 もし、そんな彼に抵抗できるなんて考えているなら私はバカだ。そんなことできるはずがない。私が知る限り、世界一傲慢で、自信家で、自分の魅力を充分に分かっている、そしてこんな私を世界一愛して幸せにしてくれる男性に、いつしか私は完全に屈して、声を上げてしまっていた。
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