強引社長の甘い罠
何がどうなっているのか分からない。祥吾と付き合っているのは事実だけれど、婚約だなんて。二人の間にそんな話は出ていないし、そもそも早すぎる。私たちはやっとお互いを確かめ合ったばかりだ。もちろん将来的には……そうなりたいと思っているけれど。
とりあえず現段階でこの噂が広まるのはまずいと思った私は、何とか自分を落ち着かせて微笑んだ。こんな話を耳にした以上、今夜二人に祥吾との関係を打ち明けたら想像以上の質問攻めにあいそうだ。もしかしたら私たちの関係をこれ以上社内で秘密にしておくことすら、難しいのかもしれない。やっぱり打ち明けるのは今日しかない。
「何かの間違いじゃない?」
私が無理やり作った余裕の笑みを見せると、皆川さんは少し憤慨した様子でまくし立てた。
「間違いなんかじゃないですよ、多分! だって私も見ちゃったんです」
……何を? 話の先が見えなくなってきて私は眉根を寄せる。及川さんが私の疑問を口にしてくれた。
「見たって、皆川ちゃんは何を見たのよ?」
すると、皆川さんはよくぞ聞いてくれましたといわんばかりに目を輝かせて早口で言った。
「桐原社長とお二人が関わってた仕事の……ええっと、名前は何でしたっけ? オークション組合の理事っていう派手な女性です」
とりあえず現段階でこの噂が広まるのはまずいと思った私は、何とか自分を落ち着かせて微笑んだ。こんな話を耳にした以上、今夜二人に祥吾との関係を打ち明けたら想像以上の質問攻めにあいそうだ。もしかしたら私たちの関係をこれ以上社内で秘密にしておくことすら、難しいのかもしれない。やっぱり打ち明けるのは今日しかない。
「何かの間違いじゃない?」
私が無理やり作った余裕の笑みを見せると、皆川さんは少し憤慨した様子でまくし立てた。
「間違いなんかじゃないですよ、多分! だって私も見ちゃったんです」
……何を? 話の先が見えなくなってきて私は眉根を寄せる。及川さんが私の疑問を口にしてくれた。
「見たって、皆川ちゃんは何を見たのよ?」
すると、皆川さんはよくぞ聞いてくれましたといわんばかりに目を輝かせて早口で言った。
「桐原社長とお二人が関わってた仕事の……ええっと、名前は何でしたっけ? オークション組合の理事っていう派手な女性です」