強引社長の甘い罠
 そう言って彼は私の瞳を覗き込む。微笑む彼のいつになく甘い眼差しに、私は明るい太陽の下でさらに頬を熱くする。赤い顔で躊躇いがちに頷く私に、及川さんと皆川さんが意味ありげな視線を寄越した。

「な、何……?」

 ニヤニヤと私を見つめる彼女たちにたじろぐ。二人はしばらく面白そうに私を眺めていたけれど、やがて及川さんが大きな声で言った。

「やっぱりこうなると思ってたのよねー!」

「ですよねぇ」

 皆川さんが相槌を打つ。私は首を傾げた。

「そ、そりゃあ……プロポーズ受けたんですからいつかは結婚しますよ……」

 当然のことを言うと、及川さんが人差し指を横に振った。何だか芝居がかってない?

「違うわよ。私たちが言ってるのはもっと前のこと」

「もっと前?」

「そそ。ほら、飲み会で七海さんが過呼吸になっちゃって、井上くんが送ってったことあったじゃない」

 私が頷くと及川さんが続けた。
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