強引社長の甘い罠
及川さんに事の顛末を白状させられた私は、彼女に今日の予定を聞かれた。特にないと答えた私は、やや強引にこの居酒屋に連れて来られたのだ。皆川さんも一緒だ。
「そうですよ~、七海さん! 私もすっごく興味があります! 何で別れちゃったんですか? 井上さん、仕事も出来るしイケメンだし、私の同期の子も何人か狙ってたんですよ。それでも井上さんには七海さんがいたから、みんな諦めてたのに。実は私も井上さんに憧れてたんですよ」
私の隣に座った皆川さんが私の顔を覗き込むようにしながら、可愛らしい声で告白した。
「えっ!?」
「ええっ!?」
皆川さんの突然の話に、私と及川さんが同時に声を張り上げた。そんな私たちに皆川さんが口を尖らす。
「やだ、二人ともそんなに驚くことないじゃないですか」
「いや、だって普通に驚くでしょ。皆川ちゃん、ついこの前まで桐原社長のことばっかり話してたじゃない。井上くんの話なんて一度もしたことないし、まさか皆川ちゃんが井上くんに憧れてただなんて、私、今まで全然知らなかったよ」
「私も初耳だよ」
及川さんの言葉に私も頷く。
皆川さんはこの春、四大を卒業してアイクリエイトに新卒で入社した、まだ三ヶ月の新人だ。同じ部署で同姓ということもあり、会社の行事以外にも、彼女とは及川さんを交えて女三人でよく飲みに行ったりもしている。そこでは仕事の愚痴やプライベートのことなども当然話題になるが、彼女が聡に憧れていたなんて話は全く聞いたことがない。
「そうですよ~、七海さん! 私もすっごく興味があります! 何で別れちゃったんですか? 井上さん、仕事も出来るしイケメンだし、私の同期の子も何人か狙ってたんですよ。それでも井上さんには七海さんがいたから、みんな諦めてたのに。実は私も井上さんに憧れてたんですよ」
私の隣に座った皆川さんが私の顔を覗き込むようにしながら、可愛らしい声で告白した。
「えっ!?」
「ええっ!?」
皆川さんの突然の話に、私と及川さんが同時に声を張り上げた。そんな私たちに皆川さんが口を尖らす。
「やだ、二人ともそんなに驚くことないじゃないですか」
「いや、だって普通に驚くでしょ。皆川ちゃん、ついこの前まで桐原社長のことばっかり話してたじゃない。井上くんの話なんて一度もしたことないし、まさか皆川ちゃんが井上くんに憧れてただなんて、私、今まで全然知らなかったよ」
「私も初耳だよ」
及川さんの言葉に私も頷く。
皆川さんはこの春、四大を卒業してアイクリエイトに新卒で入社した、まだ三ヶ月の新人だ。同じ部署で同姓ということもあり、会社の行事以外にも、彼女とは及川さんを交えて女三人でよく飲みに行ったりもしている。そこでは仕事の愚痴やプライベートのことなども当然話題になるが、彼女が聡に憧れていたなんて話は全く聞いたことがない。