パラレルワールドでゲーム戦争
「そーいや、俺名乗ってなかったな。俺は笙瀬 柃だ」
『ひさかき?どんな字書くの?』
「えっと…木辺に、命令の令だ」
『へ〜じゃあれーくんだね!』
「はぁ!?」
『よろしくれーくん!』
「よろしくじゃねーよ!俺は柃だ!……って疲れた」

訳の分からない世界で、訳の分からないバカな少女を相手にしていると流石に疲れる。
運動音痴の体力無い柃は特に。

改めて周りを見渡しても同じ。
境目のない、イメージで描くデータの中のような世界。
正直、自分が本当にその場で立っているのかもわからない。

六のように、ただ浮いているだけかもしれない。

「ホントなんなんだ?帰ってゲームがしたいのに…」
『れーくんれーくん。あれ…何?』
「何って………画面か?」
『僕ちょっと見てくる!』
「あ、待てよ!」

六が見つけたのは52インチのテレビ画面だった。
それだけが宙に浮いている。
不思議に思って、興味本位で画面に触れると……。

「うわっ!」『きゃっ!』

2人は勢いよく、画面の中に引きずり込まれた。
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