レイアップ
おれにはユキのいっている意味がよく解らなかった。
「どういうことだよ?」
するとユキは、軽蔑を含んだような冷笑を浮かべた。
「シュウイチにはわからないよね。私はシュウイチみたいにはなれなかった」
「おれみたいにって?」
ユキは質問を質問で返した。
「私は簡単に空手辞めれたけど、シュウイチは違うでしょ?」
やっぱり幼馴染みは恐いな。おれはその時正直にそう思った。
「おれもバスケ辞めてるけど」
「シュウイチがバスケ辞めれるわけないじゃない。先輩やチームメイト、監督にまで嫌われて、散々陰口叩かれても毎日平気な顔して部活行ってたのはなんでなの?バッシュ隠されて、体育館シューズで練習してた時もあったよね。私ならそんな部活絶対いかない」
「そんなこともあったな・・・」
「私ね、昨日の朝シュウイチの家へ行ったとき少し緊張してたんだ。もしもシュウイチが別人になってたらどうしようって。でも、ひと目見て安心した」
ユキは照れる様子もなくいった。