レイアップ
「シュウイチ・・・、ミウのこと知ってるの?
」
おれも揺らぐ気持ちを必死で隠し
ていった。
「七原ミウ。ユキと同じ学校だろ?」
ユキとミウ。見た目は全然違うけど、二人は多分親しい仲なんだとおれは勝手にそう思っていた。でなければ、ミウがわざわざ嘘をついてまでおれの誘いに乗ったりする理由がない。
それだけに、感情的になって思わずミウの名前を口走ってしまった自分に後悔した。
「ミウと会ったことあるの?」
小さく冷たいユキの声。
おれがミウに騙されて花火大会にきたことは絶対に知られてはならない。問い詰めるようなユキの目は、まさに雪女のようにおれを凍りづけにしていた。
「ああ。夏休みにたまたま知り合ったんだ。ミウとは友達なのか?」
ユキは険しい顔つきで、おれに何かを言いたげな様子だった。しかし、その全てを呑み込むように一拍の間をおいてユキはいった。
「うん。友達だった」