レイアップ
午後一時ジャスト。なんとか約束した時間に間に合った。緑色の錆びた鉄扉を勢い良く開ける。
「残念でしたー。10分の遅刻です」
腕を組んで仁王立ちしている膨れっ面のミウ。
「なんでだよ。約束どうりピッタリ1時だろ」
「約束どうりピッタリ1時じゃダメなの!女の子と待ち合わせするときは最低10分前にはきてないと。だからシュウは遅刻」
昨日知り合ったばかりの女の子に、そんな男の美学を押し付けられても困る。
「ほら、ぼけっとしてないでさっさとコートに上がる。バッシュはちゃんともってきたの?」
「はい。持ってきましたコーチ」
おれは、苦笑いしながら新しく買ったバッシュを顔の横に持って見せた。