レイアップ


「うちの高校は全国でも有名なバレーボールの強豪校だから、体育館を使う他のスポーツは、バレー部の練習の邪魔にならないよう部にしていないんだ。どの先生に訊いてもそんな説明ばかりだった」

当然、そんな説明でミウが納得するはずがなかった。

「学校はなにかを隠している。先生たちの反応を見ればすぐにわかった。いくら私が訊いても、教師たちは苦虫を噛み潰したような顔をするだけで、絶対に口を割ろうとしない。だから、私は方法を変えたの」

学校という組織の中では、秘密を守り通すのは不可能だ。いくら教師たちが結束を固めてタブーをつくったところで、一瞬でも職員室の外に漏れた情報は、二度と回収することはできない。それはコンピュータウイルスのように猛烈なスピードで広まり、時に都市伝説や怪談のように長く根付いてしまうのだ。もちろん媒体になるのは決まっている。

「学校の噂は生徒に訊け」

ミウは小さく頷いた。


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